一般的に“とびひ”といわれる皮膚の疾患は伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)といいます。 症状が出ているところを掻いた手で別の箇所を触ると水疱(水ぶくれ)広がり、あっという間に全身に広がる様子が、火事が広がる様子に似ていることから“とびひ”と言われます。
伝染性膿痂疹(とびひ)は水疱(水ぶくれ)ができる水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)と、かさぶたができる痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)の2種類に分かれます。
水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)の症状
皮膚にできた水疱(水ぶくれ)がだんだん膿んでくるようになり、水疱(水ぶくれ)が破けると皮膚がめくれただれてきます。
かゆみがあるので掻いてしまい、その手で体の他の箇所を触ると次々に広がっていきます。
痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)の症状
皮膚に膿疱(膿を持った水ぶくれ)ができ、厚いかさぶたになります。
炎症が強く、リンパ節が腫れたり熱が出たりします。
伝染性膿痂疹(とびひ)の治療は種類によって異なります。
水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)の場合
水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)の場合は、抗菌薬の軟膏と内服薬によって治療します。
大きな水疱(水ぶくれ)の場合は、内容物を摘出した後、抗菌薬を塗ってガーゼで覆います。ガーゼで覆うことで、感染拡大を防ぐことができます。
内服薬は抗生物質を処方します。
かゆみが強い場合はかゆみを抑える薬を処方します。
痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)の場合
痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)の治療には抗生物質を処方します。
症状が強い場合は、点滴を行うこともあります。
また、抗菌剤の軟膏を使用することもあります。
伝染性膿痂疹(とびひ)は虫刺されや汗疹(あせも)をかいてできた傷や、けがによる傷に細菌が入り込むことで発症します。
入り込んだ細菌によって、水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)になる場合と、痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)になる場合があります。
水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)は黄色ブドウ球菌と呼ばれる菌が原因です。
黄色ブドウ球菌は、健康な人の皮膚の表面や、鼻の中にいる常在菌です。
多くの場合、この菌が伝染性膿痂疹(とびひ)の原因となります。
痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)はA群β溶血性レンサ球菌が原因です。
A群β溶血性レンサ球菌は化膿レンサ球菌とも呼ばれる細菌で、こちらも健康な人の鼻の中やのどにいる常在菌です。
伝染性膿痂疹(とびひ)は重症化することがあるので注意が必要です。
黄色ブドウ球菌が作る毒素が血液に入り全身に広がることで、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群という病気になることがあります。
症状としては、皮膚が真っ赤に腫れ、触れるだけでも痛みを感じ、高熱が出ます。
この疾患は乳幼児に見られ、発症した場合は入院して治療を行う必要があります。
A群β溶血性レンサ球菌(化膿レンサ球菌)による伝染性膿痂疹(とびひ)が治った後に、腎炎を起こすことがあります。
伝染性膿痂疹(とびひ)が治った後も体調が回復しない場合は、医療機関を受診してください。