主にカゼを原因として発症する副鼻腔(鼻の周囲、頬の奥や眼の奥にある骨で囲まれた空洞で、鼻の穴とつながっています。)の炎症が1ヶ月以上続く状態を慢性副鼻腔炎(ちくのう症)といい、急性副鼻腔炎が治り切らずに慢性化してしまったものを言います。
炎症が慢性化することで、鼻の粘膜が腫れ、副鼻腔の空洞にウミやはがれた粘膜が溜まり、排泄されず、悪循環になります。
症状として頭痛、顔面痛・顔面腫脹、黄色や緑の鼻汁、鼻づまり、においが分からない、後鼻漏(鼻汁が喉に流れる)などの鼻症状がみられます。
急性副鼻腔炎とは違い、症状の現れ方が緩やかになる場合も多く、それが却って治療を怠る原因となって慢性化を助長させます。
鼻水がのどにまわり、のどの炎症や気管支炎がおこることもあります。
診断は、診察時の鼻の所見とレントゲンで副鼻腔に陰影があるかどうかで判断します。
副鼻腔炎は右図の丸で囲った状態です。
正常な副鼻腔の状態は黒い空洞で、副鼻腔炎になると白いもやがかかったような状態で写ります。
大人の場合にはレントゲンを撮らず、ファイバースコープで副鼻腔の状態を観察して実際にウミが出ているか、鼻茸(ポリープ)が無いかどうか等を確認することもあります。
当院では抗菌薬のクラリスというお薬を半分の量を内服する少量長期マクロライド投与法を主にしています。
クラリスを半分の量で使用することによって、抗菌薬としてではなく副鼻腔炎を治す(炎症を治す)薬になります。
その為、少量長期投与という方法で内服しますので、月単位で使用しても安全な治療法となっています。
この少量長期マクロライド投与法でねばねばの鼻水をサラサラにして排出しやすくすることによって又、本来持っている働きを取り戻すことによって、副鼻腔を正常な状態へと治癒に導いてゆきます。
この少量長期治マクロライド投与法と組み合わせて去たん剤も併用してゆきます。
お薬の治療で鼻の症状、所見ともにきれいになって、暫く安定すれば、治ったかどうかのレントゲンを再度お撮りして副鼻腔が正常な状態になっていれば治癒したと判断致します。
症状や体質に応じてマクロライド療法を用いることが出来ない大人の方もいらっしゃいます。
上記でも症状の改善が芳しくない場合には漢方薬等に変更したり、併用治療を行う場合もあります。
鼻茸(ポリープ)がある場合にはお薬に対する反応が悪いことが多くなります。
鼻の通りを良くしなければ薬の効果が期待できない為、慢性副鼻腔炎の方はきっちりとお鼻をかむようにしてください。
また、真菌症やポリープ、腫瘍等がある場合、お薬の服用で治療を続けても症状の改善が芳しくない場合には手術療法をお勧めする場合があります。
鼻の通りを良くしなければ薬の効果が期待できない為、慢性副鼻腔炎のお子様でお鼻をかむことが難しい場合には通院してきっちりとお鼻の処置を受けさせるようにしてください。
慢性副鼻腔炎(ちくのう症)の適応となるのは3歳を超えたお子さんである為、当院では3歳に達するまではレントゲンは撮影致しません。
慢性副鼻腔炎になられた際に浮かんでくる疑問や心配の数々・・・。
あいばクリニックでよくお受けする質問をまとめてみました。
きちんと治療すれば、再発する可能性は極めて低いです。
一般的に症状が治まり「治った」と思っていても、風邪をきっかけに再燃してくる場合がありますが、これは治ったという状態ではないので、当院ではしっかりと治るまでフォロー致します。
昔と違って、慢性副鼻腔炎になればすぐに手術という時代ではなくなり、薬による治療で6~7割(お子さんの場合には8~9割)は治るようになってきました。
治らない病気ではないので根気よく治療を続けてゆきましょう。
鼻の症状がひどい場合には通院して頂き鼻処置が必要だと考えますが、お家で鼻をかむことも効果的です。
ある程度落ち着いてくれば徐々にお薬を出す期間も長くしてゆきますので無理なく治療を継続できると考えています。
通院のペースについては医師にご相談下さい。
ポリープ(鼻茸)がある場合(特に大きい場合)、お薬を内服して頂き1カ月以上経っても改善が無い場合は手術をした方が良いことが多いです。
根本的な手術の場合には病院をご紹介いたします。
鼻の中の術後の傷がしっかりと落ち着くまでは、適切な処置が必要となりますので、再発を防ぐためにも術後は当院でフォローを行ってゆきます。
慢性副鼻腔炎と診断されても症状(鼻づまり・鼻水・鼻が喉に流れる)の無い場合、心配のないことが多いです。
しかし、上に挙げたような自覚症状がないものの稀にポリープがあったり腫瘍があったりする場合があるのでしっかりと診察を受けられることをお勧め致します。