鼓膜の奥に滲出液という液体がたまる中耳炎です。
滲出性中耳炎は、鼓膜が凹む状態から始まります。
通常はトンネルに入ったり、エレベーターに乗った後、唾を飲みこんだり、あくびをすると鼓膜が元に戻るのですが戻らず、このような状態が続いていくと鼓膜の奥が陰圧になって液が滲み(にじみ)出てきます。
この液体を滲出液と言い、そのため滲出性中耳炎と言われるのです。
水の中で音を聞いている状態なので、音の伝わりが悪かったり、トンネルに入った状態よりももう少し悪い聴こえの状態が症状です。
鼓膜が凹んだ状態が続いて徐々に聴こえが悪くなっていくため、特に小さなお子様では自覚症状があまり無い場合が多いですので、親御さんが、通常よりテレビの音を大きくしていないか等を注意してあげなければいけません。
なぜ鼓膜は凹むのか?
鼓膜が凹む原因は、鼓膜の奥と鼻の奥は耳管という管で繋がっています。
お鼻の出口が鼻水で蓋をしていると圧力を調整することができないため、トンネルに入った状態から元に戻せなくなってしまいます。
よって、まずはお鼻の奥の状態をきれいにすることが、治療の第一歩となります。
が重要になってきます。
通常は、鼻をすすらず、しっかりかんで、鼻水が鼻の奥で少なくなっていくと滲出性中耳炎は改善に向かっていくことが多いです。
滲出性中耳炎の治療で大切なことは、原因となる疾患を最後まで治療することです。
風邪(かぜ)であれば風邪(かぜ)の治療を、副鼻腔炎であれば副鼻腔炎の治療を行い、鼻の奥をきれいな状態に保つことが最も基本的な滲出性中耳炎の治療となります。
鼻がきれいになってきていても治りが遅い場合、患者さんのご協力を得られれば、鼻咽腔の耳管の開口部から空気を送り込んで通りをよくする「耳管通気」という方法もあります。
さらに治りが悪い場合は・・・
鼓膜切開や鼓膜チューブ挿入術という鼓膜に穴をあけ滲出液を出したり、鼓膜にチューブを通して、滲出液を出す場合があります。
自覚症状があまりない疾患ですので、通院頻度をしっかり守り治療しましょう。
また、当院では、潜水や鼻すすりをしないのであればプールに入って頂いても良いです。
ただし、経過を診る必要があるので通院はしっかり守ってください。
滲出性中耳炎になられた際に浮かんでくる疑問や心配の数々・・・。
あいばクリニックでよくお受けする質問をまとめてみました。
鼓膜切開や鼓膜にチューブが入っている状態では潜って耳の中に水が入り、中耳炎を起こすリスクが無いとは言えません。
疾患の具合や程度を診て判断しますが、夏のプールの時期を過ぎてから鼓膜切開や鼓膜チューブ挿入術を実施することも多いです。
スイミングスクールに通っている場合は医師に一度ご相談下さい。
やはり中耳炎の原因となる疾患を治療と共に、鼻の治療をしっかりと行うことかと思います。
個人差がありますが、特に子供の場合は成長に従って滲出性中耳炎が治る場合は多々あります。
しかしお子様にとって重要な学ぶ時期に、聞こえづらいままにしておくのは、様々な事を吸収するのに良い事ではありません。
しっかりと治療を行い、少しでも早く治るようにしてあげることが重要だと考えます。
自覚症状があまりないため、治療を怠ると再発することが多いため、難しい判断ではあります。
滲出性中耳炎が改善するのは、まずはお鼻の状態が良くなってからになりますのでタイムラグがあります。
鼻の状態が良くなっても耳の状態が良くなるまで、しばらくは通院をして頂くようお願い致します。
耳の中を内視鏡で一緒にみながら治しましょう。